DPC制度の基本
DPC(Diagnosis Procedure Combination)は、入院患者の診断と処置の組み合わせに基づいて医療費を包括的に計算する仕組みです。日本では「DPC/PDPS(包括評価制度)」として、急性期病院を中心に約1,700施設が対象となっています。
DPC制度のもとでは、入院患者ごとに14桁の「DPCコード」が付与されます。このコードは、主たる診断(MDC)、手術の有無、副傷病の有無などを組み合わせた分類で、同じ疾患でも治療内容によって異なるコードになります。
DPCデータの公開
厚生労働省は毎年、DPC対象病院ごとの退院患者数をDPCコード別・MDC別に集計した「DPC導入の影響評価に係る調査」の結果を公開しています。このデータにより、全国のDPC病院がどの疾患をどれだけ診ているかを、施設単位・地域単位で把握できます。
MDC(主要診断群)とは
MDC(Major Diagnostic Category)は、DPCコードの上位2桁にあたる大分類で、疾患を18の領域に分けたものです。
- MDC01:神経系疾患
- MDC02:眼科系疾患
- MDC03:耳鼻咽喉科系疾患
- MDC04:呼吸器系疾患
- MDC05:循環器系疾患
- MDC06:消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患
(…以下MDC07〜18まで18分類)
MDC別に症例数を集計・比較することで、「この病院は循環器に強い」「この医療圏では消化器の症例が域外に流出している」といった分析が可能になります。
MDC別分析で分かること
自院のポジション把握
同じ医療圏内のDPC病院と比較して、自院がどのMDCで症例を多く集めているか、逆にどの分野が少ないかを定量的に把握できます。「MDC05(循環器)は圏内トップだが、MDC06(消化器)は3番目」といった具合です。
医療圏の症例流出入
ある医療圏で特定のMDCの症例が極端に少ない場合、その疾患の患者が域外の医療圏へ流出している可能性があります。逆に、周辺医療圏から患者を集めている「吸引力のある分野」も見えてきます。この情報は、機能分化や連携体制の検討に直結します。
年度推移で見るトレンド
令和4年度・5年度・6年度のように複数年度のデータを並べると、各病院・各医療圏のMDC別症例数の増減トレンドが見えます。たとえば「MDC01(神経系)の症例が年5%ずつ増えている」「MDC11(腎・尿路)が急減している」といった変化は、診療体制の変更や医師の異動、地域の高齢化の影響を反映しています。
DPCの症例数データ(実績)と、施設基準の届出データ(体制)を重ね合わせると、より深い分析ができます。たとえば「脳卒中ケアユニット(SCU)の施設基準を届け出ている病院は、MDC01の症例数が圏内で突出している」「手術の施設基準は持っているが、実際の手術件数は少ない」といった体制と実績のギャップが可視化されます。
メディケースでの活用
セラムが公開している「メディケース」は、厚生労働省が公開するDPC調査データを医療圏単位で分析できるツールです。
- 全国332医療圏・6,369病院のMDC別症例数を即座に検索・比較
- 医療圏内ランキング ─ 域内のDPC病院を症例数順に並べ、自院の位置を確認
- 圏域実態分析 ─ 医療圏全体の症例構成を可視化し、地域の特徴を把握
- 年度比較 ─ 複数年度の推移をグラフ表示
- 疾患別ランキング(6桁・14桁) ─ DPCコード単位での詳細な症例分析
- 施設分布マップ ─ 医療圏内の病院・診療所の位置を地図上に表示
令和6年度(2024年度)のデータに対応しており、対象年度は毎年度の厚労省公開に合わせて更新されます。